大相撲小言場所


令和七年秋場所展望〜若隆景の大関昇進なるか~

 先場所は上位陣総崩れの中、琴勝峰、安青錦らが優勝争いをして琴勝峰の平幕優勝が決まった。琴勝峰は前頭5枚目に昇進し、新三役を狙える位置についたが、序盤から上位陣と当たる番付で、果たして先場所のような相撲が取れるか。以前から書いてきたが、琴勝峰にはこれという型がない。幕内下位では星が上がるが、いきなり上位と当たった時にはかなり苦しくなるのではないか。
 その点期待できるのは新小結の安青錦の方だ。四つに組んだ時の腰の良さと上半身の角度は、三役に上がっても十分力を出す事ができるだろう。
 両横綱については、やはり序盤を乗り切ることが大切になる。特に肩の怪我が万全でない豊昇龍は、先場所同様苦しむ相撲が多くなるのではないか。大の里は下位力士に対して引き技で墓穴を掘るケースが多く、解説の琴風さん言うところの「毒饅頭」が、先場所はかなりきいていた。体が引くことを覚えてしまい切らないうちに、悪癖は直しておくべきだろう。
 大関琴櫻は祖父の琴櫻のような「猛牛」と呼ばれるような相撲を取ってもらいたい。今は父の琴ノ若の組んだら動かない相撲を受け継いでしまっているという感じがする。
 一人大関のため、もう一人の大関の誕生が待たれるが、今場所は若隆景にそのチャンスがある。昇進前33勝という数字は11勝でクリアできるが、相撲内容は大関にふさわしい強さがあるので、10勝どまりでも大関昇進を認めてもいいのではないか。
 鉄人玉鷲が今場所も上位陣に対する台風の目になりそうだ。玉鷲を下していけるくらいの力がないと優勝は難しいだろう。
 新鋭では草野と藤ノ川が今場所も注目の的だ。特に草野はまっとうな相撲を取って勝てる貴重な存在。来年の今頃は大関という声がかかっていてもおかしくはないだろう。藤ノ川のスピード相撲も前半戦の相撲を楽しませてくれるに違いない。
 十両では高砂部屋から朝乃山、朝白龍、朝翠龍の3人が同時に昇進。特に朝翠龍は兄の朝紅龍よりも恵まれた素質があるだけに、一気に入幕して兄弟同時幕内も夢ではない。
 今場所の目玉は若隆景。相撲ファンとしてはかなり回り道をしてきた分だけ、ここで一気にチャンスをつかんでほしいと思う。

(2025年9月13日記)


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