今場所は両横綱が怪我脳影響で途中から優勝争いから脱落し、13日目まで2敗を守った新大関の安青錦が単独トップに立つが、3敗で熱海富士、霧島、阿炎らが追うという展開になった。14日目に安青錦が大の里に完敗し、千秋楽は3敗で安青錦と熱海富士が並んだ。熱海富士が欧勝海を下して3敗を守れば、安青錦は琴櫻を下して優勝決定戦に。決定戦では熱海富士が安青錦を土俵際まで追い詰めたが、捨て身の首投げで逆転し、白鵬以来の新大関優勝を果たした。関脇からの連続優勝はなんと双葉山以来。もっとも双葉山は69連勝の途中だったが。新大関のプレッシャーに打ち勝って連続優勝を果たした安青錦にはまず称賛の意を表したい。前傾姿勢さえ崩されなければ、まず負けない方を持っているのが強みだ。
熱海富士はまわしを取ると力強い相撲と馬力を生かした寄りでもう少しで初優勝というところまで行って敢闘賞。ただ、「12賞で優勝すれば」という条件で殊勲賞というのはあまりにもハードルが高すぎる。熱海富士に殊勲賞を出したくなければ、最初から候補に挙げなければよい。12勝したら、でも11賞でも優勝したら、でもよかったのではないか。むやみに高いハードルを設けるのは酷というもの。
両横綱は怪我の影響で本来の力を発揮できなかったが、途中休場をせず、両者とも最低ラインの10勝をあげたのはよくやったと評価したい。それにしても、豊昇龍に勝てない大の里、大の里に勝てない安青錦、安青錦に勝てない豊昇龍という三すくみはなかなか面白い。今後、どう力関係が変わっていくのかも楽しみである。
琴櫻は一時の不振を脱していい動きを取り戻したが、ここぞというところで勝てず、存在感を示せなかったのは残念。
殊勲賞は両横綱を破った義ノ富士。千秋楽に勝ち越しと殊勲賞のかかった一番で思い切りのよい相撲を取ったのは、今後につながるだろう。
残念だったのは欧勝海。千秋楽に熱海富士に勝てば敢闘賞という条件は、やはりハードルが高すぎる。そんなに欧勝海に三賞を出したくなかったのかと勘繰りたくなる。10勝しているのだから技能賞を出せばよかったのではないか。地味ながら、四つ相撲の型を持っているのだから、変な条件をつけずにその技能をたたえるべきではなかったか。
最後まで優勝争いに絡んだ霧島と阿炎は、千秋楽に直接対戦して勝った方が敢闘賞という変な条件付き。霧島が勝って敢闘賞を手にしたのだが、阿炎に何もないというのもいかがなものか。特に前半戦は阿炎の相撲が一番場内を沸かせていた。
三賞には届かなかったが、下位では獅司が前半戦はよく頑張った。終盤に上位と当たり、失速したのは残念。関脇の高安も全盛時を彷彿とさせる豪快な相撲で存在感を示した。また、藤ノ川も思い切りのいい相撲で10勝し、館内を沸かせた。藤ノ川にも何か三賞を出せなかったか。
再入幕の朝乃山が勝ち越し、復活へまた歩を進めた。やはり自分の型を持っている力士は強い。
十両では若ノ勝が生きのいい突き押しで優勝。優勝は逃したが、藤青雲が筆頭で11勝し、来場所の新入幕を確実にした。他にも西ノ龍や藤凌駕など、元気な若手有望力士が活躍し、今後に期待できる。
幕下では炎鵬が全勝を逃したが、来場所こそ関取復帰を期待させる。寿之富士、福崎といったところが来場所新十両に上がりそうで、今後に期待できる。
両横綱の不振も、新大関安青錦の活躍でなんとか面目を保った場所だった。安青錦は来場所は横綱昇進がかかる場所になる。果たして連続優勝をのばすか、両横綱が立ちはだかるか。今場所のような混戦も面白いが、やはり両横綱には怪我をしっかり治して来場所に臨んでもらいたい。
(2026年1月25日記)