愛すれどTigers


3連勝で日本シリーズ進出、森下がMVPに

 クライマックスシリーズのファイナルステージの相手はジャイアンツに連勝して勢いに乗るベイスターズ。第1戦は村上が再三のピンチを乗り切り、好投していた東から近本の三盗、森下のタイムリーと好走塁などで2点をもぎ取り、鉄壁のリリーフ陣で逃げ切った。第2戦は竹田から初回に先制するが才木が打たれて牧のホームランで勝ち越される。しかし伊勢を攻めて同点にし、延長10回に森下のサヨナラホームランで連勝。第3戦は苦手とするケイから初回に佐藤輝がスリーランホームランを放つと、高橋遥は8回途中までノーヒットピッチングを展開。3連打で満塁とされたが石井の好リリーフでピンチを脱すると、最後は岩崎が締めて3連勝。アドバンテージの1勝を含めて4勝0敗でファイナルステージを突破した。勢いに乗るベイスターズに対し、隙のない野球で圧倒。まさにペナントレースを独走した地力の差をはっきりと見せつけてくれた。これで日本シリーズ進出は決定。2023年に続く日本シリーズ優勝に向け、藤川監督は「あと4つです」と高らかに宣言した。シリーズMVPは森下。一昨年同様、短期決戦にはめっぽう強く、タイガースのミスターオクトーバーとして記録にも記憶にも残る活躍だった。

◎ベイスターズ1回戦……2-0
 タイガース村上、ベイスターズ東の投手戦。1回表、蝦名にライト前ヒットを打たれ、桑原のバントは村上が判断よく二封。佐野恵を捕邪飛に打ち取るが、筒香を歩かせ、牧のショートゴロは熊谷が弾いてエラー。藤川監督が牧はアウトではないかとリクエスト申請したが、判定は覆らず満塁に。ここで山本を三塁ゴロに打ち取り切り抜ける。2回表、1死から林に63kmのスローカーブを背中に当てて死球。東はスリーバント失敗。蝦名をショートフライに打ち取る。3回表、桑原にライト前ヒットを打たれ、佐野恵の一塁ゴロで二進。筒香を歩かせたが、牧と山本を連続空振り三振に打ち取る。4回表、石上にショートへの内野安打を打たれ、林は空振り三振に取るが、東のバントで石上は二進。蝦名を空振り三振に取って切り抜ける。4回裏、1死から森下がこの試合チーム初安打となるセンター前ヒットを放つも後続を断たれる。5回表、桑原にレフト前ヒットを打たれ、佐野恵は投手ゴロで二封。筒香にライト前ヒットを打たれ一二塁に。牧の三塁ゴロで二封。一三塁となるが山本を三塁ゴロに打ち取りここも切り抜ける。5回裏、中川がライト前ヒットを放ち、代走に小野寺。坂本誠の打席で東は一塁に牽制。三浦監督がリクエスト申請をするが、判定はセーフのまま。坂本誠のバントで二進。熊谷の三塁ゴロで小野寺は三進。代打ヘルナンデスは空振り三振で先制点はならず。村上は苦労しながらも5回無失点で交代。6回表、二番手及川は1死から林に二塁内野安打を打たれて東のバントで二進されるも蝦名を見逃し三振に打ち取る。6回裏、近本がショートへ内野安打を放ち、中野のバントで二進。森下の打席で相手の油断を突き三盗。森下のセンター前タイムリーヒットで先制する。佐藤輝のセンター前に落ちるテキサスヒットは、森下が判断よく三進し、一三塁に。大山の三塁ゴロで森下は三本間で挟殺。森下が粘りの走塁を見せ、佐藤輝は三進。一三塁とし、小野寺のライト前タイムリーヒットで2点差とする。ここで東は交代。二番手坂本裕に対し、坂本誠は四球で満塁に。しかし熊谷はライトフライに倒れる。7回表、続投の及川は桑原にセンター前ヒットを打たれ、佐野恵と筒香を連続三振に取ったところで三番手石井に交代。牧にレフト前ヒットを打たれるも代打フォードは空振り三振に取る。石井は8回表は三者凡退に抑える。7回裏、三番手中川虎に対し三者凡退。8回裏、四番手は佐々木。森下が歩き、佐藤輝は二塁ゴロで二封。大山はライトフェンスに大きなフライを放つが、蝦名に好捕され、佐藤輝は慌てて一塁に帰塁。代打前川は見逃し三振で追加点はならず。9回表、クローザーの岩崎は蝦名と桑原を連続空振り三振に取り、佐野はショートへのファールフライに打ち取って逃げ切った。及川が1勝。岩崎が1セーブ。ヒーローインタビューは先制打の森下と追加点をあげた小野寺。アドバンテージの1勝に加え、2勝目をあげた。
◎ベイスターズ2回戦……5-3
 ベイスターズの先発は竹田。1回裏、近本が歩き、中野のショートゴロで二封。森下のライト線への二塁打で二三塁とし、佐藤輝のレフトとショートの間に落ちるテキサス性のタイムリー二塁打で先制する。大山のセンターへの犠牲フライで2点差に。タイガースの先発は才木。3回表、林にセンタへ前ヒットを打たれたが、竹田はスリーバント失敗。しかし蝦名に左中間を破るタイムリー二塁打で1点差に迫られ、桑原は空振り三振に取ったが、佐野恵にレフト線にタイムリー二塁打を打たれて同点とされた。4回表、牧にレフトスタンドにソロホームランを打たれ、勝ち越しを許す。4回裏、佐藤輝が二塁打で出たが、後続は三者凡退に終わる。5回表が終わったところで雨が激しくなり、47分の中断。再開後の5回裏、1死から代打高寺がライト前ヒットと二盗でチャンスを作り、近本のライトフライで三進。しかし中野は二塁ゴロに倒れて同点機を逸する。才木は5回3失点で降板。6回表、二番手畠は牧を歩かせ山本のバントで二進。しかし石上を空振り三振に取ると、林を二塁ゴロに打ち取る。6回裏、森下がレフト前ヒットを放ったところで竹田は交代。二番手は中川虎。佐藤輝の打席で暴投し、森下は二進。佐藤輝と大山は連続空振り三振。代打ヘルナンデスも空振り三振でまたも同点はならず。7回表、三番手湯浅は三者凡退に抑える。7回裏、三番手石田裕の前に三者凡退。8回表、続投の湯浅は佐野恵にセンター前ヒット、筒香にはライト線に二塁打を打たれ、無死二三塁とされ、佐野恵の代走に神里。牧のライトフライは森下の好返球で神里は三塁に釘付け。山本の三塁ゴロで神里は三本間で挟殺。走者は三塁に進めず。ここで四番手岩貞に交代し、石上を空振り三振に取る。8回裏、四番手の伊勢から近本が歩き中野のバントで二進。森下も歩いて一二塁とし、佐藤輝のライト前タイムリーヒットで同点に追いつく。9回表、五番手石井は三者凡退に抑える。9回裏、五番手森原から坂本誠が歩き代走に植田。しかし高寺は空振り三振。近本は一塁ゴロに倒れ、試合は延長戦に。10回表、六番手の及川は桑原を見逃し三振、神里を三邪飛、筒香を空振り三振に打ち取る。10回裏、六番手佐々木から中野がレフト前ヒットを放ち、森下がレフトスタンドにサヨナラホームランを放ち、連勝。及川が2勝目。ヒーローインタビューはサヨナラホームランの森下。
◎ベイスターズ3回戦……4-0
 タイガースの先発は高橋遥。1回表、1死から桑原の三塁ゴロは佐藤輝の悪送球がカメラマン席に入りテイクワンベースで二進。佐野恵の二塁ゴロで桑原は三進。しかし筒香をレフトフライに打ち取って切り抜ける。ベイスターズの先発はケイ。1回裏、近本がレフト前ヒット。中野のバントは山本が判断よく二封。しかし森下は爪先に当たる死球で一二塁とし、佐藤輝のバックスクリーンに入るスリーランホームランで先制。2回以降、高橋遥の投球は冴え、3回表は石上とケイを連続見逃し三振に取ると、蝦名は空振り三振。3回裏、1死から中野禍の右手に当たる死球で出ると、森下は四球で一二塁に。佐藤輝は三邪飛に倒れたが、大山のレフトフェンスに当たるタイムリー二塁打で4点差とする。4回表、桑原、佐野恵を連続空振り三振に取り筒香の二塁横の当たりは中野が好捕して二塁ゴロに。4回裏、1死から坂本誠がセンター前ヒット。高橋遥のバントで二進。しかし近本の空振り三振で坂本誠が飛び出し、山本の二塁送球でタッチアウトに。5回裏、近本がショートへの内野安打。中野のバントで二進。森下はレフトフライに倒れ、佐藤輝は申告敬遠。ここでケイは降板。二番手宮城の前に大山は見逃し三振に倒れる。6回裏、三番手石田裕に対し1死から木浪がライトの上を越す二塁打を放ち、坂本誠が歩いて一二塁とし、高橋遥のバントで二三塁としたが、近本は空振り三振に倒れる。7回裏、1死から森下がライト線に二塁打を放ち、佐藤輝の一塁ゴロで三進。しかし大山は捕邪飛に倒れて追加点はならず。8回表、高橋遥は1死まで無安打無得点を続けていたが、代打松尾にセンター前ヒットを打たれると、林と度会の連打で満塁に。代打戸柱を浅いレフトフライに打ち取ったところで交代。二番手石井は蝦名を空振り三振に取る。8回裏、四番手入江の前に三者凡退。9回表、クローザーの岩崎は桑原をショートへのフライ、佐野恵を空振り三振、筒香を二塁へのフライに仕留めて逃げ切り、クライマックスシリーズファイナルステージを無傷で通過し、日本シリーズ出場を決めた。高橋遥が1勝。勝利監督インタビューで藤川監督は「あと4つです!」と力強く宣言した。シリーズMVPには森下が選ばれ、賞を受け取った後、スキップして選手の列に戻っていった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……及川雅貴・石井大智 先発投手陣が苦しんでも、及川がきっちりと締めて反撃を許さず。それが打線に伝わり、直後に勝ち越し点が入り、シリーズ2勝。そこから石井が3連投で相手打線の反撃への意気をくじく。どちらか1人に絞りたかったのだが、両者の好リリーフがなければ3連勝はなかった。どちらが上ということはない。どちらもシーズン同様の働きを見せてくれたので、ここはセットで。
野手……森下翔太 初戦は先制タイムリー、2戦目はサヨナラホームランと、短期決戦での勝負強さを今季も見せてくれた。3戦目では佐藤輝の先制ホームランにつながる死球。これも相手のケイ投手が森下から圧を感じ、警戒したからに違いない。シリーズMVPは当然。次点は初戦で好走塁、2戦目で同点打、3戦目で先制ホームランの佐藤輝。大山もタイムリーを放ったので、日本シリーズでのこの中軸トリオの活躍が期待される。

 パ・リーグのクライマックスシリーズは首位のホークスが2連勝しアドバンテージの1勝を加えて3勝とここまでははタイガースと同じだったが、第3戦から2位のファイターズが逆襲。ペナントレースでも最後まで競り合い実力伯仲の両チームらしいシリーズとなった。:結局最終戦でホークスが辛勝。ホークスとは4度目のマッチアップ。今回は2003念のシリーズ以来の伯仲した展開になりそう。
 その前にドラフト会議がある。藤川監督2度目のドラフト。今季のドラフトでタイガースの黄金時代が続くかどうかが決まるのではないかという気がする。果たして成果はどうか。ここちらも楽しみだ。

(2025年10月20日記)


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